歯の治療をしたときは、被せものを装着して削った歯を補うことになります
被せものにはいくつかの種類がありますが、通常は金銀パラジウム合金でできた銀歯を使用することが多いでしょう。
白い被せものは基本的に保険が適用されませんが、CAD/CAM冠であれば保険が適用されます。
CAD/CAM冠がどのようなものか解説します。
CAD/CAM冠とは?
歯科医院で虫歯の治療をすると歯を削ることになりますが、歯の形が変わるほど削った場合は、削った部分を補うためにクラウンというものを被せます。
クラウンには保険適用のものと保険適用外のものがあり、セラミックや金歯などは保険適用外であるため、全額自費で支払うことになるのです。
しかし、銀歯であれば保険が適用されるクラウンであるため、治療費も一部だけを負担するだけで済みます。
クラウンの1つに、CAD/CAM冠というコンピューターでデザインして製作した、白いクラウンがあります。
CAD/CAM冠を作製する際は、3Dカメラで治療箇所をスキャンし、それに合う被せものを制作するのです。
かつてCAD/CAM冠は先進医療に分類されていたため、保険は適用されず自由診療とされていました。
しかし、2020年の診療報酬改定でほぼすべての歯に対して保険適用に分類されるようになったため、保険の範囲内で白い歯を実現できるようになったのです。
CAD/CAM冠のメリット
コンピューターで作製するCAD/CAM冠の主なメリットには、どのようなものがあるのかを解説します。
CAD/CAM冠の素材は、歯科用プラスチックであるレジンとセラミックを混合したハイブリッドレジンです。
レジンだけではなくセラミックも含まれているため、保険が適用されるクラウンと比べて自然な色調や形状になります。
透明感という面ではセラミック単体のクラウンに劣るものの、天然歯に近い白さを持つ素材です。
CAD/CAM冠は、コンピューター上で設計から製作までを行うため、銀歯よりも適合性が高いといわれています。
歯との間に隙間が無ければ虫歯の原因菌も侵入できないため、虫歯が再発するリスクも少なくなるでしょう。
もしも虫歯が再発した場合は、歯を大きく削ることになるため、再発しないということは歯を守ることにもなります。
今までであれば、全て白いクラウンにしたければセラミック治療などを受ける必要があったため、治療費はかなり高額でした。
しかし、CAD/CAM冠が保険診療になったため、現在では保険診療でも白いクラウンを装着できるようになっています。
セラミック治療などで白い歯にしたいけれど費用が高すぎるという方には、おすすめの治療です。
ハイブリッドレジンには金属が含まれていないため、金属アレルギーのリスクはほぼゼロです。
また、銀歯のように金属が溶けだして歯茎に沈着してしまうようなことも、金属を使用していないため起こりません。
クラウンが硬い素材でできている場合は、噛み合わせの対象となる対合歯にダメージを与えることもあります。
しかし、ハイブリッドレジンは天然歯とあまり変わらない硬さであるため、歯にダメージを与えることは滅多にありません。
CAD/CAM冠のデメリット
保険適用の治療で歯の審美性を高めることができるCAD/CAM冠ですが、いくつかのデメリットもあります。
まず、強度の面で金属やセラミックに劣るCAD/CAM冠は、クラウンを作製する場合には他の素材よりも厚みが必要です。
クラウンの厚みが必要ということは、他の素材のクラウンよりも多く歯を削る必要があるということを意味します。
虫歯治療で神経を取らずに治療することができた場合、削りすぎてしまうと痛みが強くなるため、無条件で削ることができるというわけではありません。
特に、下の歯の奥歯は神経が残っているとあまり多く削ることができないため、他の素材でできたクラウンで治療することになるでしょう。
歯科用プラスチックのレジンが含まれているCAD/CAM冠は、変色してしまい審美性が悪くなることがあります。
変色するだけではなく、表面が劣化することもあるため、一定期間が過ぎたら新しいものに交換する必要があるでしょう。
材料に含まれている歯科用プラスチックは傷がつきやすいため、CAD/CAM冠の表面に溝ができてしまい、プラークが付着してしまいます。
また、強度の問題があるためゆがみも多く、外の素材と比べて外れやすい、割れやすいといったデメリットもあるのです。
強度が低いため、歯に大きな負担がかかる歯ぎしり、食いしばりなどがある場合は、使用できないこともあります。
CAD/CAM冠を使用したいのであれば、先に食いしばりや歯ぎしりなどの症状を治療しなくてはなりません。
まとめ
クラウンの一種であるCAD/CAM冠は、歯によって保険が適用されないところもありましたが、2020年からはほとんどの歯に対して保険が適用されるようになりました。
保険適用外のクラウンと比べて見た目や硬度などは劣るものの、銀歯よりはかなり優れているといえます。
負担額も銀歯より少し高いだけであるため、リーズナブルに白いクラウンを着けられるでしょう。