セラミック治療を受けるとき、多くの患者さんにはどうしても避けられない悩みがあります。
それは、費用が高額になるということです。
しかし、できるだけ安く治療を受けたいからといって、明らかに相場より安いセラミック治療を選んではいけません。
今回は、格安のセラミック治療における口内トラブルのリスクを解説します。
格安のセラミック治療とは?
セラミック治療は、使用する素材によって費用相場が変わってきます。
例えば一般的なセラミックインレーの場合、4～9万円程度で受けられるケースが多いです。
またセラミック以外の素材も含むハイブリッドインレーについても、5～8万円程度はかかるのが一般的です。
格安のセラミック治療とは、これらの相場から明らかに乖離している金額のセラミック治療を指しています。
例えば、安いところであれば1万円台で提供しているところもあります。
このようなセラミック治療は、もちろん歯科クリニックで取り扱われている正式な治療です。
しかし、あまりにも安価な治療は、さまざまな口内トラブルのリスクを高めます。
格安のセラミック治療が引き起こす口内トラブル4選
コストを抑えたいからといって格安のセラミック治療を受けてしまうと、以下の口内トラブルにつながりやすくなります。
・歯の破損
・二次カリエス
・口臭
・金属アレルギー
各項目について詳しく説明します。
歯の破損
あまりにも安価なセラミック治療を受けると、装着したセラミックの歯が破損するリスクが高まります。
セラミックは本来、ある程度の耐久性を持っているものです。
瞬間的な衝撃には強くありませんが、歯ごたえのあるものを食べる程度であれば、問題なく使用できます。
しかし、格安のセラミック治療で使用される素材は、通常のセラミックよりも強度が低いケースが多いです。
そのため、少し硬いものを噛んだくらいでも破損する可能性があります。
もちろん、破損したセラミックをそのまま使用し続けることはできません。
修正治療を受けなければ、二次虫歯のリスクが高まったり、噛み合わせが悪化したりします。
ちなみに格安のセラミック治療の場合、このような破損が起こったとき、患者さんは高額な治療費を負担しなければいけないことがあります。
こちらは、治療後の保険を含むアフターケアが不十分なことが多いからです。
二次カリエス
格安のセラミック治療が引き起こす口内トラブルとしては、二次カリエスも挙げられます。
二次カリエスは、一度治療を受けた部分が再び虫歯になってしまうというものです。
通常のセラミック治療では、それほど二次カリエスが起こるリスクは高くありません。
自由診療のセラミックは品質が良く、装着する歯との隙間や段差ができにくいからです。
一方、明らかに安いセラミックは品質が良くないため、しっかりと天然歯にフィットしません。
その結果、セラミックと天然歯との間に隙間や段差ができ、その間から虫歯菌が侵入しやすくなります。
このとき侵入した虫歯菌は、セラミックを装着した部分の下でひっそりと虫歯を進行させます。
外から見たとき、歯に穴が開いている、黒く変色しているという見た目の変化がないため、二次カリエスの発症にはなかなか気付けません。
もちろん、二次カリエスを発症した場合、一度セラミックを取り外して虫歯治療を受ける必要があります。
口臭
安価なセラミック治療は、口臭を発生させる原因にもなります。
こちらはセラミックに付着した汚れ、プラークが除去しにくいことが理由です。
本来、セラミックの表面はツルツルと滑らかな質感になっています。
そのため、食べカスやプラークなどの汚れがつきにくく、清掃性に優れているというメリットがあります。
しかし安価なセラミック素材の場合、表面がそこまで滑らかではないため、簡単にプラークが付着してしまいます。
このとき付着したプラークは、口内でガスを発生させ、ひどい口臭につながるおそれがあります。
また先ほども触れたように、安いセラミックは天然歯との間に隙間や段差ができやすいです。
こういった部分にも食べカスやプラークが蓄積し、口臭を引き起こす原因になります。
金属アレルギー
セラミック素材の中には、多少の金属が含まれているものもあります。
しかし、ほとんど素材は金属不使用であり、金属アレルギーの心配もありません。
一方格安のセラミック治療では、金属やレジンといったセラミック以外の素材が含まれるケースも多くあります。
そのため、金属アレルギーを発症してもなんら不思議ではありません。
また金属アレルギーを発症すると、歯茎の腫れや口内炎、舌の痛みや味覚障害などの症状が出ます。
まとめ
セラミック治療を受けようと考える方は、ある程度の費用がかかることは覚悟しなければいけません。
安い値段で高品質の治療を受けるということは、基本的には不可能です。
確かに値段が安いのは魅力的ですが、“安かろう悪かろう”という考え方があるように、格安のセラミック治療には必ずどこかに問題があります。
そのため、安さを追求するのであれば、相場にギリギリ収まる程度の治療を目指すのがベストです。
