ハイブリッドセラミックインレーは、セラミック系のインレーの中でも費用が安く、ある程度の強度や審美性もあります。
また硬すぎないことから、噛み合う歯や歯茎なども傷めにくいです。
しかし、当然ながら他の素材に比べて劣っている点もあります。
今回は、ハイブリッドセラミックインレーのデメリットについて解説します。
ハイブリッドセラミックインレーのデメリット
ハイブリッドセラミックインレーには、主に以下のようなデメリットがあります。
・二次カリエスになりやすい
・擦り減りやすい
・インレーは保険適用外
・クラウンは金属を使用する可能性がある
・レジンアレルギーの場合は受けられない
各デメリットについて詳しく説明します。
二次カリエスになりやすい
ハイブリッドセラミックインレーのデメリットとしては、まず二次カリエスになりやすいという点が挙げられます。
こちらはオールセラミックなどの素材と比べて、汚れがつきやすいことが主な理由です。
二次カリエスは、インレーの内部で虫歯が再発するというものです。
汚れがつきやすいことから、次第に治療後のインレーの内側にプラークや細菌が侵入し、二次カリエスを引き起こすという仕組みです。
またハイブリッドセラミックインレーは、ある程度の強度がありますが、経年劣化による変形はそれなりに見られます。
そのため、装着から時間が経つと歯とインレーの間に隙間ができ、より二次カリエスのリスクは高くなります。
ちなみに二次カリエスはインレーの中で少しずつ症状が進行するため、定期検診に通っていなければ、発症していることになかなか気付けません。
擦り減りやすい
ハイブリッドセラミックインレーには、擦り減りやすいというデメリットもあります。
ハイブリッドという名前の通り、ハイブリッドセラミックインレーはレジンというプラスチックが混ざっているため、飛び抜けて強度が高いわけではありません。
そのため、表面が擦り減ってしまい、装着した直後と比べてバランスが悪くなる可能性があります。
また噛み合う歯とのバランスが悪くなると、インレーに対して変に負担がかかってしまい、割れたり欠けたりするリスクは高まります。
特に数年間装着しているインレーの場合、破損する可能性は極めて高いです。
インレーは保険適用外
ハイブリッドセラミックインレーは、他のセラミック素材に比べてリーズナブルではあるものの、保険が適用されるわけではありません。
ハイブリッドセラミックで保険適用となるのは、CAD/CAM装置というコンピューターを用いた歯科医療技術を使用した場合に限ります。
また、すべての歯がCAD/CAM装置の使用で保険適用になるわけではありません。
一部の歯については条件を満たさなければ保険診療にならないため、すべての歯をハイブリッドセラミックにできる方はかなり限定されます。
クラウンは金属を使用する可能性がある
ハイブリッドセラミックインレーは、通常金属を使用しないため、金属アレルギーのリスクがありません。
一方でクラウン(被せ物)の場合は、金属を使用することもあります。
冒頭でも触れた通り、ハイブリッドセラミックはセラミックとレジンでできているため、柔軟性があり、周りの歯を傷める心配は少ないです。
しかし飛び抜けて強度が高いわけではないことから、クラウンの場合は上部構造が摩耗するリスクがあります。
また場合によっては、強度を高くするために金属を使用することもあり、金属アレルギーの方はこちらの治療が行われる前に、歯科医師に伝えておかなければいけません。
レジンアレルギーの場合は受けられない
ハイブリッドセラミックインレーについては、金属アレルギーがある方でも基本的には受けられますが、レジンアレルギーの場合は治療が難しくなります。
レジンアレルギーは、名前の通りプラスチックの一種であるレジンに対するアレルギーです。
こちらは1941年に、世界で初めて報告されました。
全身の症状はアトピー性皮膚炎に似ていると言われていて、皮膚の湿疹や蕁麻疹、水ぶくれや赤み・かゆみなどが出ることがあります。
口の中の症状としては、粘膜が腫れる、熱を帯びる、触ると痛みが出るといったものが挙げられます。
舌痛症、口腔扁平苔癬として症状が現れることもあります。
ハイブリッドセラミックインレーは、素材そのものにレジンが含まれているため、アレルギーがある方は別の素材を用いた治療を受けるしかありません。
ただし、アレルギーを感知する細胞は、口内にはそれほど存在していません。
そのため、ハイブリッドセラミックインレーの治療によってアレルギーを発症することは、ごく稀だと言えます。
まとめ
数あるセラミック素材の中でも、ハイブリッドセラミックインレーはトータルバランスに優れています。
しかし、二次カリエスや擦り減りのリスクは他のセラミック素材よりもありますし、すべての方がハイブリッドセラミックインレーを使用できるとは限りません。
またセラミックの中では安いものの、保険適用外であるため、まったく経済的な余裕がない場合は治療方法を考え直さなければいけません。
