保険診療の補綴物を装着するより、セラミック治療を受ける方が格段に歯の審美性は良くなります。
さらに歯の形もキレイに整えられますが、セラミック治療で噛み合わせも改善できるのでしょうか?
また、治療後のセラミックに悪影響を及ぼす噛み合わせとはどういうものなのでしょうか?
今回はこれらの点について解説します。
セラミック治療で噛み合わせは治せる?
結論からいうと、噛み合わせをセラミック治療によって治すことはできません。
なぜなら、歯を移動させる治療ではないからです。
セラミック治療は、あくまで欠損した歯や治療した歯を修復するために、セラミックを使用するというものです。
そのため、歯の見た目はキレイになりますが、根本的な噛み合わせの改善には不向きです。
具体的には、前歯の歯並びや見た目を改善することに強みがあり、逆に上下の歯の噛み合わせのズレを治すことには弱点があります。
特に出っ歯や口ゴボなどの歯並びについては、セラミック治療はもちろんのこと、マウスピース矯正やワイヤー矯正でも治せないことが多いです。
このような噛み合わせの異常については、外科矯正まで視野に入れなければいけません。
セラミック治療は、セラミック矯正という呼び方がされることもありますが、矯正治療のように噛み合わせを治せると認識しないように注意してください。
セラミック治療に悪影響を及ぼす噛み合わせ
セラミック治療を行っても、根本から噛み合わせを治すことはできません。
また問題なくセラミック治療が完了したとしても、噛み合わせの変化によってはセラミックに問題が生じることがあります。
例えば治療前よりも噛み合わせが悪くなってしまった場合、セラミックが割れるリスクは高まります。
セラミックはある程度の強度を備えた素材ですが、瞬間的な強い力に弱いです。
そのため、噛み合わせの悪化によってセラミックに無理な力がかかるようになると、咀嚼時の衝撃などで割れてしまう可能性があります。
さらにセラミックには劣化が少ないという特徴もありますが、噛み合わせが著しく悪化すると多少は劣化が見られるようになります。
その結果、セラミックの形が天然歯に適合しないようになり、セラミックと歯の間に隙間が生じます。
このような隙間は、食べ物が詰まりやすくなったり、痛みや知覚過敏のような症状を引き起こしたりする原因になります。
セラミック治療後の噛み合わせの悪化を防ぐ方法
セラミック治療を受けた後、噛み合わせが悪化してセラミックの破損や劣化を加速させないためには、以下の対策が必要です。
・定期的な歯科検診
・歯ぎしり、食いしばり対策
・硬いものの摂取を控える
各項目について詳しく説明します。
定期的な歯科検診
噛み合わせの悪化については、定期的に歯科クリニックで検診を受けていればある程度防止できます。
患者さん自身で、噛み合わせの変化やズレを自覚することは難しいです。
気付いたときにはかなり悪化していて、セラミックにも長期間無駄な力がかかり続けていることがあります。
そのため、数ヶ月に1回程度歯科クリニックを訪れ、噛み合わせやセラミックの状態を確認してもらいましょう。
必要であれば、そのタイミングで噛み合わせの調整も行います。
歯ぎしり、食いしばり対策
セラミックにとって大敵とも言えるのが、歯ぎしりや食いしばりです。
歯ぎしりや食いしばりによって歯にかかる力は、数百kgにも及ぶと言われています。
そのため、いくら強度のあるセラミックだからといって、日常的に歯ぎしりや食いしばりによる負荷がかかるとひとたまりもありません。
また歯ぎしりや食いしばりについては、就寝中に行われることが多いです。
このことから自覚している方が少なく、放置するのは非常に危険です。
歯ぎしりや食いしばりの対策としては、就寝中に装着するナイトガードと呼ばれるマウスピースが挙げられます。
ナイトガードを装着していれば、強い負荷がセラミックにかかる心配は少ないです。
硬いものの摂取を控える
セラミック治療を受けた後は、なるべく硬いものの摂取を控えましょう。
こちらは噛み合わせの悪化を防ぐだけでなく、単純にセラミックの破損を防ぐためでもあります。
セラミック治療が苦手な“瞬間的な強い力”には、上下の歯を噛み合わせたときの力だけでなく、硬いものを噛んだときの衝撃も含まれます。
例えば氷やアーモンド、キャンディーなどを噛んだとき、ガリッという音と共に歯が噛み合いますが、こちらは非常に強い瞬間的な力です。
もちろん、硬いものを食べると天然歯の摩耗や破損にもつながるため、注意が必要です。
まとめ
セラミック治療を受けたとしても、噛み合わせは基本的には治せません。
特に骨格から来る不正咬合については、外科治療を受けなければ改善させるのは難しいです。
またセラミック治療を受けた後、噛み合わせが悪くなるとさまざまなトラブルにつながります。
そのため、日々の食生活を見直したり、定期的に歯列全体とセラミックの状態をチェックしたりすることが求められます。