セラミックには耐久性があり、虫歯や歯周病のリスクも保険診療の被せ物と比べて軽減できます。
しかし、だからといってセルフケアを怠っても良いという理由にはなりません。
治療後も治療前と同じように、ブラッシングを継続する必要があります。
今回は、セラミックを硬い歯ブラシで磨くデメリットを中心に解説します。
セラミックを硬い歯ブラシで磨くデメリット4選
ドラッグストアなどで販売されている歯ブラシは、硬め・普通・やわらかめという大きく3つの硬さにわかれています。
これらのうち硬めの歯ブラシでセラミックを磨くデメリットとしては、主に以下のことが挙げられます。
・セラミックにキズがつく
・歯周病のリスクが高まる
・磨き残しが出やすくなる
・削られた歯や歯茎は元に戻らない
各デメリットについて詳しく説明します。
セラミックにキズがつく
セラミックを硬い歯ブラシで磨いてしまうと、表面にキズがついてしまいます。
保険診療の被せ物とは違い、セラミックは表面が滑らかでツルツルしています。
そのため、プラークが付着しにくく、虫歯もある程度防ぎやすくなります。
しかし硬い歯ブラシでゴシゴシ磨いてしまうと、本来滑らかだったセラミックの表面にキズがつき、細かい溝ができてしまいます。
プラークがこちらの溝に入り込むようになれば、セラミックの虫歯になりにくいというメリットはなくなってしまいます。
またセラミックを硬い歯ブラシで磨くと、セラミックそのものだけでなく、歯茎にキズがついてしまうおそれもあります。
それでも同じようにブラッシングを続けていると、次第に歯茎が下がり、知覚過敏を引き起こすことも考えられます。
ちなみに、知覚過敏になると少しの刺激で痛みを感じるようになるため、よりセラミックのブラッシングがしにくくなるという悪循環につながります。
歯周病のリスクが高まる
硬い歯ブラシでセラミックを磨くことにより、歯周病のリスクも高まります。
こちらは歯茎がダメージを負うことが原因です。
歯周病は、歯と歯茎の間に溜まったプラークが原因で起こる疾患です。
細菌の塊であるプラークはいずれ歯石に変化し、歯周ポケットの奥深くへと進行していきます。
また深くなった歯周ポケットは酸素が少なく、歯周病菌の繁殖を助けます。
このような状況が続いた結果、細菌の毒素によって歯茎が腫れたり出血したりすることがあります。
つまり、最終的には歯茎が弱ることで歯周病を引き起こすということです。
硬い歯ブラシでセラミックを磨くと、歯茎がダメージを受けてしまい、同じように歯茎が弱っていきます。
その結果、歯周病を発症します。
さらに口内にセラミックがある状態で歯周病を発症すると、被せ物が正確にフィットしなくなる可能性があります。
最終的には、土台となる支台歯とセラミックが脱落してしまい、再治療を受けなければいけないことも考えられます。
磨き残しが出やすくなる
磨き残しが出やすくなることも、硬い歯ブラシでセラミックを磨くデメリットの一つです。
セラミックはプラークが付着しにくいという話をしましたが、一切付着しないわけではありません。
食べカスやプラークのうちに除去しなければ、やがて歯石化し、清掃性の高いセラミックであってもセルフケアで取り除くのは難しくなります。
また硬い歯ブラシは、歯と歯の間に十分に入り込むことができず、磨き残しが出やすくなります。
こちらは当然セラミックが装着された歯でも言えることであり、磨き残しが出れば当然プラークの付着や歯石化、虫歯のリスクは高くなります。
削られた歯や歯茎は元に戻らない
セラミックを硬い歯ブラシで磨いたとき、削られたセラミックや天然歯、歯茎は二度と元には戻りません。
セラミックは人工歯であり、細胞が存在しないため、削られた部分が再生しないのは当然です。
また天然歯は身体の組織ですが、削られた部分が自然に再生することはありません。
歯茎も同じです。
天然歯や歯茎は、セラミックをはじめとする補綴物でカバーできますが、これらの組織に勝る機能を持った人工物は存在しません。
そのため、できる限り失わないようにすることが大切です。
セラミックの正しいセルフケアの方法
セラミックのセルフケアを行う場合は、やわらかめもしくは普通の硬さの歯ブラシを使用すべきです。
ただしあまりにやわらかいものを使用するのもよくありません。
多少は毛先の弾力がなければ、汚れが十分に落とせないからです。
また細かい部分もきちんと磨けるように、ヘッド部分が小さめの歯ブラシを選ぶこともポイントです。
まとめ
予防歯科の観点からいうと、硬い歯ブラシはそれほどメリットがありません。
「硬くなければ磨いた気がしない」という方もいるかもしれませんが、大事なのは満足感を得ることではなく、実際に汚れを取り除くことです。
またセラミックや天然歯、歯茎に与えるダメージを考えても、やはりやわらかめもしくは普通の硬さを選ぶべきです。
もちろんサポートアイテムとして、デンタルフロスや歯間ブラシを併用することも大切です。