セラミックに破損や適合不良、審美面や機能面の問題、色や形への不満がある場合は、もう一度セラミック治療をやり直さなければいけません。
しかし、治療のやり直しはできる限り避けるのが望ましいです。
今回は、セラミック治療をやり直すことの主なデメリットと対策について解説します。
セラミック治療をやり直すデメリット5選
一度治療を受けた歯に対し、もう一度セラミック治療を施すことのデメリットは以下の通りです。
・歯根が折れる可能性がある
・痛みが出ることがある
・抜髄のリスクが高まる
・治療費がかかる
・通院の負担が増える
各デメリットについて詳しく説明します。
歯根が折れる可能性がある
治療した箇所のセラミックをつくり直すことにより、歯根にヒビが入ったり、縦に割れたりする可能性があります。
特にこちらが起こりやすいのは、セラミック治療をやり直す歯の神経を除去している場合です。
重度の虫歯治療などの際にセラミックを装着した場合、すでに神経は根管治療によって除去されている可能性が高いです。
このような場合、歯の強度を保つための部品を除去しなければいけませんが、神経のない歯は通常の歯と比べて脆いため、歯根破折が起こりやすくなります。
また歯根が割れたり欠けたりすると、その程度や位置、方向などによっては歯を抜かなければいけなくなることも考えられます。
痛みが出ることがある
神経が残っている歯のセラミック治療をやり直す場合、強い痛みが出ることがあります。
外部の刺激や痛みを感知するのが神経の役割であるため、こちらは当然のことです。
特に支えている歯の形状が良くない場合、神経が刺激されて痛みを伴うケースが多いです。
ちなみにこのときの刺激が強い場合、歯髄炎を引き起こすこともあります。
歯髄炎は、歯の内部にある歯髄と呼ばれる組織に起こる炎症です。
可逆性歯髄炎の場合、適切な治療によって回復が見込めますが、不可逆性歯髄炎の場合はなかなか回復させるのが難しいです。
抜髄のリスクが高まる
神経が残存している歯でセラミック治療をもう一度行うと、抜髄のリスクも高まります。
抜髄とは、歯の神経を抜くことを言います。
前述の通り、まだ神経が生きている歯のセラミック治療をやり直すと、痛みが出やすくなります。
さらに、歯を削るときに神経が露出してしまい、治療の妨げになることも考えられます。
このような状況になってしまった場合、歯の神経を抜かなければいけません。
治療費がかかる
セラミック治療をやり直すことにより、高額な治療費がかかる可能性もあります。
セラミックは保証期間内に限り、再治療にかかる費用が保証されます。
保証期間は歯科クリニックによって異なりますが、治療後1~3年に設定されているケースが多いです。
つまり1回目の治療を行って1~3年までの間であれば、やり直しの費用はかからないということです。
ただし、保証期間外の場合、当然1回目と同じく高額な治療費がかかります。
また患者さん自身の過失による破損があった場合や、治療後のメンテナンスに通っていなかった場合などは、期間内であっても保証の対象にはなりません。
通院の負担が増える
セラミック治療をやり直すことのデメリットとしては、単純に歯科クリニックへ通院する手間が増えることも挙げられます。
再治療を行う場合、一般的には2~3回ほど治療を受けなければいけません。
つまり治療をやり直すのであれば、本来よりも2~3回は多く歯科クリニックに通わなければいけないということです。
特に身体が不自由な方などは、たとえ歯科クリニックが近くにあったとしても、通院が大きな負担になります。
また再治療を受けることを想定していなかった方は、遠方の歯科クリニックを選んでいたことにより、通院の負担や時間がかかることも考えられます。
セラミック治療のやり直しを防ぐには?
歯科医師と治療前に行うカウンセリングにしっかり時間をかけることにより、イメージのズレをなくし、後々再治療を行うのを防ぎやすくなります。
また治療後については、歯科クリニックでのメンテナンスを怠らず、問題が発生したときには早期に対応します。
さらに歯ぎしりや食いしばりの癖がある方は、セラミックを傷つけないように、ナイトガードを着用することをおすすめします。
ちなみに、適切なブラッシングを行うことは、セラミックの寿命を延ばすにあたって基本中の基本です。
このときには歯ブラシだけでなく、デンタルフロスや歯間ブラシなどのサポートグッズも使用し、ブラッシング後はマウスウォッシュで仕上げます。
まとめ
セラミック治療に限らず、治療のやり直しは何か治療箇所に問題がなければ起こり得ないことです。
そのため、患者さんは日々のメンテナンスなどを徹底し、問題が起こらないように努める必要があります。
またセラミックは精度が高いものの、人工物であることからどうしても多少の劣化は見られます。
完全に機能を失ってしまう前に、修正すべき点がある場合は歯科クリニックで修正しましょう。