セラミックは主に審美目的で使用される詰め物・被せ物であり、基本的には虫歯治療の後に用いられます。
また詰め物・被せ物には他にもさまざまな種類があり、代表的なものにレジンや銀歯が挙げられます。
今回は、セラミックとその他の詰め物・被せ物の違いを中心に解説します。
レジンの概要
レジンは歯科用プラスチックのことであり、主に小さな虫歯を治療したときに使用されるものです。
虫歯治療後の詰め物としては非常にポピュラーなものであり、こちらは保険診療で治療することが可能です。
治療の流れとしては、虫歯をまずキレイに削り取り、削った面に粘土のようなペースト状の材料を盛ります。
その後、特殊な光を照射して固めたら、表面を滑らかに削っていきます。
銀歯の概要
銀歯は、虫歯治療などの詰め物・被せ物として使用される金属素材であり、レジンと並んで保険診療の虫歯治療ではよく使用されます。
銀歯という名称は通称であり、正式には金銀パラジウム合金と呼ばれます。
12%の金に銀や銅、パラジウムなどを混合したもので、実際は銀だけでつくられているわけではありません。
その硬さと丈夫さを活かし、基本的には咬合力の強い奥歯の治療に用いられます。
セラミックとレジン、銀歯の違い
セラミックとレジン、銀歯など他の詰め物・被せ物は、以下の点で大きな違いがあります。
・耐久性
・審美性
・変色の有無
・金額
各項目について詳しく説明します。
耐久性
耐久性は、その詰め物や被せ物を長く使用していくにあたって、とても重要なことです。
歯科用プラスチックのレジンに関しては、それほど耐久性が高くありません。
プラスチックであるため、どうしても噛み合わせたときにかかる負担は大きく、奥歯などへの補綴には適していません。
ただし、前歯に装着する症例には適しています。
また銀歯は金属でできているため、ある程度の耐久性があります。
しかし銀歯は溶けやすい性質があり、長年使用することで金属イオンとなって少しずつ変形します。
そのため、長期間同じ使い心地をキープするのは難しいです。
一方、セラミックは耐久性が極めて高く、突発的な強い衝撃を与えない限り、長期間使用することができます。
審美性
審美性つまり見た目の美しさについては、金属製の銀歯がもっとも劣っていると言えます。
奥歯などの治療箇所に銀色の詰め物や被せ物が入ることから、その部分はかなり目立つようになってしまいます。
またレジンについては、銀歯と比べると天然歯に近い色をしていますが、歯本来の透明感や質感はそれほどありません。
その点セラミックは非常に審美性が高く、天然歯と同じような色調や透明感、質感などを再現することができます。
歯茎に近い部分と離れている部分でグラデーションをつけるなど、細かい色の調整も可能であるため、セラミックを装着しているのがばれることはまずありません。
変色の有無
レジンはプラスチックであることから、他の素材に比べて吸水性が高いです。
そのため、食べ物や飲み物などの色素を吸収しやすく、使用していくうちに少しずつ変色していきます。
また銀歯については、それほど変色することはありませんが、銀歯から色素が漏れて歯や歯茎が黒ずむリスクがあります。
こちらはメタルタトゥーというものであり、歯周組織がタトゥーのように黒く染まってしまうことが名前の由来です。
金属素材を口内に入れている以上、メタルタトゥーのリスクを完全に排除するのは難しいです。
セラミックは、他の詰め物や被せ物に見られる変色とは基本的に無縁です。
特にすべてがセラミックでできている詰め物・被せ物については、長期間使用しても一切変色が見られません。
ただし、ハイブリッドセラミックはレジンが少し混ざっているため、その影響で変色することがあります。
金額
レジンや銀歯などの素材は保険が適用されるため、安価での装着が可能です。
レジンは3割負担の場合で1本あたり3,000~5,000円程度、銀歯は3,000~5,000円程度で治療できます。
一方、セラミックは残念ながら保険が適用されない自由診療です。
前述した2つの素材は、審美を目的としていないため、虫歯を治療する際に最低限必要なものという扱いになります。
セラミックについては、審美目的が強く最低限の治療とは言えないため、原則保険が適用されないようになっています。
またセラミックの金額については、詰め物が40,000~80,000円程度、被せ物が80,000~180,000円程度と非常に高額です。
さらにセラミックは自由診療であるため、治療を受ける歯科クリニックによって金額が変わってきます。
つまり、相場よりも高い価格で提供されることもあるということです。
まとめ
セラミックとレジン、銀歯の違いについて解説してきましたが、基本的にセラミックはどの素材よりも機能性・審美性ともに優れています。
そのため、もっともおすすめする補綴物はセラミックだと言えます。
もちろん予算に余裕がない方はセラミック治療をためらうかと思いますが、治療後のランニングコストなどを考えると、セラミックは決して割高な素材ではありません。