セラミックは優れた耐久性を持ち、なおかつ自然な歯の色を実現できる人気の治療です。
しかし、場合によっては、治療をやり直さなければいけないケースがあります。
基本的には、施術箇所や周りの歯周組織に不具合が生じた場合、再治療が必要になります。
今回は、セラミック治療がやり直しになるケースについて解説します。
セラミック治療がやり直しになるケース6選
以下のケースでは、一度装着したセラミックを除去し、再治療をしなければいけません。
・二次虫歯
・歯周病
・根尖病巣
・色調や形への不満
・歯茎の退縮
・破損
各項目について詳しく説明します。
二次虫歯
二次虫歯を発症した場合、セラミック治療をやり直さなければいけない可能性があります。
二次虫歯は、過去に虫歯治療を行った歯やその周囲で新たに発生する虫歯です。
セラミック治療を受けているということは、すでに虫歯治療を受けているということになります。
しかしセラミックを装着する際、歯の奥にプラークが残っていると、再び虫歯を発症することがあります。
このような状況では、一度セラミックを取り除き、再度虫歯を除去しなければいけません。
歯周病
歯周病を発症することでも、セラミック治療をやり直さなければいけないことがあります。
歯周病は、さまざまなリスクファクター(危険因子)によって引き起こされる病気です。
またセラミックの被せ物の形が、プラークの除去に適したものではない場合、被せ物のマージン(歯と被せ物の境目)を中心に歯周病が発生します。
こちらを改善させるためには、装着したセラミックを取り外し、基本歯周治療などを施す必要があります。
根尖病巣
セラミック治療のやり直しが必要なケースとしては、根尖病巣が見られるケースも挙げられます。
根尖病巣は、歯周病が悪化することで見られる症状です。
歯周病が深刻になると、歯がグラグラと不安定になり、最終的には抜歯に至ることがあります。
セラミックを装着した歯で根尖病巣が見られる場合は、歯周病と同じく治療をやり直さなければいけません。
色調や形への不満
患者さんがセラミックの色調や形に不満を持っている場合も、セラミック治療はやり直しが必要になります。
セラミックは、優れた審美性が売りの一つですが、必ずしも患者さんの思ったような見た目に仕上がるとは限りません。
そのため、治療後に「もう少し白い方が良かった」といった不満が出る可能性があります。
しかし、セラミックの色調や形の修正は、口内にセラミックを残した状態のまま行うことができません。
見た目を修正したい場合は、一度口内から取り除く必要があります。
歯茎の退縮
セラミック治療後、歯茎が退縮してしまい、被せ物の端が見えてきてしまうことがあります。
こちらも、改善するには再治療が必要です。
一般的には、年齢とともに歯肉退縮は多くの方に起こるものです。
実際に50代の方になると、ほぼ100%歯茎の退縮が認められるというデータも存在します。
そのためセラミック治療を行ってから年月が経過すると、歯茎が退縮して審美性が劣化することは、事前に想定しておきましょう。
破損
セラミックが破損してしまった場合も、治療をやり直さなければいけません。
例えば転倒や打撲などの外傷、噛み合わせの癖など、さまざまな原因でセラミックは破損する可能性があります。
修理が可能な軽度の破損であれば良いのですが、修理が困難な破損であれば、セラミック治療自体をやり直すことになります。
セラミック治療をやり直すことのリスク
セラミック治療は、治療箇所やその周囲の歯周組織で問題が生じても、一からやり直せば改善できる可能性が高いです。
しかし、再治療には以下のようなリスクがあるため、極力避けるべきです。
・歯根破折
・歯髄への刺激
・費用の高額化
セラミックをつくり直すと、歯の根元にある歯根が縦に割れたり、ヒビが入ったりする可能性があります。
歯根破折が起こった場合、破折の位置や方向によっては、抜歯が必要になることも考えられます。
また、セラミック治療をやり直すと、歯髄を刺激して知覚過敏や歯髄炎といった症状を引き起こすおそれもあります。
歯髄炎を放置すると、歯の神経が死滅してしまったり、歯根破折と同じく抜歯が必要になったりする可能性が高いです。
ちなみに、何度もセラミック治療を受けると、単純に治療費がかさみます。
セラミック治療は原則保険診療の適用外であるため、やり直しであっても高額な出費は避けられないでしょう。
具体的には、一般的なセラミックの詰め物の場合5~10万円、被せ物の場合は10~20万円ほどかかります。
まとめ
セラミック治療は、虫歯治療を受けた後の歯をキレイにしたい方におすすめですが、成功率は100%ではありません。
また治療直後には問題がなくても、時間が経つにつれて少しずつ問題が露見してくることもあります。
前述したような問題については治療を受ける前に把握しておき、実際問題が生じたときの対処法などについても、歯科医師から説明を受けておきましょう。