セレック治療は、セラミック治療の中でも人気がある治療です。
ただ、広まったのが最近なので、よく知らない人も多いでしょう。
セレック治療は、短い期間でセラミックの補綴物を作製できる治療方法ですが、具体的にはどのようなメリットがあるのでしょうか?
セレック治療にはどのようなメリットがあるのか、解説します。
セレック治療にはどんなメリットがある?
セレック治療は、ドイツで生まれたCAD/CAMシステムを使用した治療方法です。
世界的歯科機器メーカーのシロナ社という会社で開発されました。
歯型のデータを3Dデータで取り込み、デザインを決定して出力することで、セラミックの加工が可能です。
虫歯の治療をする際、最初に歯の型を取り、補綴物の素材を決定したら歯科技工士に作製を依頼します。
作製する場合にかかる期間は、およそ1週間です。
出来上がるまでの間、治療したところを消毒するために1~2回ほど歯科医院を訪れることになるでしょう。
補綴物ができたら、仮に詰めておいたレジンをきれいに除去して、補綴物を歯に被せてかみ合わせなどを確認し、問題がなければ接着して固定します。
一方、セレック治療はかかる期間が極めて短いため、最短で1回の治療だけで終わることが可能です。
セレック治療では、セラミックブロックを自動切削機にセットして、データの通りにセラミックから補綴物を切り出していきます。
従来のセラミックのように焼成する必要もなく、出来上がりまでの期間が短いです。
最短当日に出来上がるため、忙しい方でも治療を受けやすいでしょう。
セレック治療は、セラミックでできているため金属は一切使用していません。
金属アレルギーの場合でも、問題なく使用できる点がメリットです。
生体親和性が高いので、装着した後の違和感は少ないでしょう。
また、意外と治療費が安いという点もメリットです。
セラミック治療の一種であり、他の治療と同じく保険が適用されない自由診療となるため、治療費は全額自己負担する必要があります。
しかし、同じようにセラミックを使用する治療と比べると、セレック治療は歯型を歯科技工士に渡して作製してもらう必要がありません。
作製を依頼せずに機械で作ることができる分、治療費は安くなります。
セレック治療を使用する上でのメリット
セレック治療のメリットの中には、治療を受けてしばらくしてから実感できるものもあります。
例えば、銀歯よりも長く使い続けることができる点がメリットです。
その理由として、しっかりと密着する、変形しづらく強度がある、プラークが付着しにくいということが挙げられます。
保険が適用される銀歯の補綴物は、使用している間に変形したり、穴が空いたりするため外れやすい点が問題です。
また、隙間や穴から食べかすが入り込んでしまったり、虫歯の原因菌が侵入したりすることがあるため、虫歯が再発する可能性も高くなります。
セレック治療の場合は、まず3Dスキャナーで歯型を取り、パソコン上で処理して作製するため、歯の形にピッタリとフィットするセラミックの補綴物を作製可能です。
セラミックの場合は銀歯と接着の方法も異なるため、しっかりと接着できるのです。
セレック治療の補綴物を被せた場合、変形したり穴が空いてしまったりすることがないため、虫歯が再発する可能性も低くなります。
レジンなら5年、銀歯なら7年といわれていますが、セレックの場合は10年以上使い続けることも珍しくありません。
天然歯と遜色のない強度があるという点も、セレック治療のメリットです。
よほど硬い食べ物でない限り、しっかり噛むことができます。
奥歯の虫歯の治療でも使用できるでしょう。
さらに、プラークが付着しにくいこともセレック治療のメリットです。
なぜなら、補填物の表面がなめらかだからです。
歯の表面に付着するプラークは虫歯や歯周病の原因菌が増殖する原因となります。
セレック治療の補綴物は表面がつるつるしているため付着しにくく、虫歯や歯周病になりにくいでしょう。
加えて、歯型の採取が簡単なことも、セレック治療のメリットに挙げられます。
従来の虫歯治療では、口の中に印象材という柔らかい素材を入れて歯型を取り、採取した歯型に合わせてクラウンやインレーを作製していました。
一方、セレック治療では3Dスキャナーを使用して歯の状態を把握するため、従来の方法よりも負担が軽減されます。
なお、セレック治療ではセラミックを使用するため、レジンとは違って水分を吸収しません。
銀歯のように変形したり変色したりすることもなく、白さを保ったまま長期間の使用が可能です。
以上のとおり、セレック治療には多くのメリットがあります。
気になる場合には、他の補綴物とメリットを比較して、自分の希望に合うかどうかを確認してください。
まとめ
セレック治療は1日で製作することが可能な、審美性にも優れた治療です。
金属アレルギーの心配もなく、銀歯と比べて虫歯が同じ歯に再発しにくいなど、多くのメリットがあります。
自費治療ではありますが、長期間の使用が可能であるため、トータルのコストを考慮するとお得といえるでしょう。
治療を受ける前に歯科医師にメリットを確認するのはもとより、注意点などもよく聞いたうえで治療を検討してください。