セラミック矯正を行うことで、歯並びや歯の形を整えることが可能です。
しかし、セラミック矯正後の歯は、永久にその状態を維持できるわけではありません。
一般的な被せ物や詰め物と同じように、セラミックにも寿命が存在します。
今回は、セラミック治療後の歯の寿命を延ばす方法を中心に解説します。
セラミックの寿命について
セラミック矯正後の歯の寿命は10年前後で、こちらは一般的なプラスチック、銀歯などの補綴物と比べて長いです。
セラミックの寿命が長い理由としては、ツルツルした材質であること、歯に接着させるセメントが劣化しにくいことが挙げられます。
セラミックには、高い耐久性だけでなく、表面がツルツルしているという特徴があります。
そのため、食べカスなどの汚れが付着しにくく、他の補綴物より長い寿命を実現しています。
また、セラミックの被せ物と歯を接着させるセメントには、特殊で劣化しにくいものが使用されています。
こちらのセメントのおかげで、年月が経っても被せ物と歯の間に隙間ができにくく、隙間から細菌が入り込むリスクも軽減されています。
しかし、セラミック矯正後のケアがおろそかになると、平均寿命に届かずに作り直しになる可能性もあります。
セラミック矯正後の歯の寿命を延ばす方法
セラミック矯正を受けた後は、以下のような方法により、なるべく寿命を延ばすことが大切です。
・適切なセルフケア
・定期検診
・レントゲン撮影
・マウスピースの使用
各項目について詳しく説明します。
適切なセルフケア
セラミック矯正後の歯は、適切なセルフケアをすることで寿命が長くなります。
前述の通り、セラミックは非常に汚れがつきにくい素材ですが、長持ちさせるためには毎日のケアが欠かせません。
患者さん自身での正しいブラッシングや、フロスなど補助的清掃用具も使用したメンテナンスにより、歯をキレイにしましょう。
ちなみに、セルフケアには食べ物の選択も含まれています。
例えば硬いものを頻繁に食べるなど、セラミックへの負担が大きくなると、割れたり欠けたりするリスクが高まります。
定期検診
セラミック矯正後の歯の寿命を延ばすには、歯科クリニックでの定期検診も受けなければいけません。
セラミックの寿命には、矯正した箇所だけでなく、残存歯の健康状態なども関係しています。
例えば、矯正した歯のすぐ隣に虫歯ができていると、セラミック矯正後の歯まで虫歯菌に侵される可能性があります。
また、ブラッシングなどのセルフケアだけでは、すべての汚れを落とすことができません。
定期検診の際のクリーニングやスケーリングにより、歯石やステイン、バイオフィルムなどは初めて取り除かれます。
レントゲン撮影
レントゲン撮影も、セラミック矯正後の歯の寿命を延ばすには必要な項目です。
こちらは定期検診の中で行われるケースも多く、見た目だけではわからないセラミックの中の部分を確認するためのものです。
具体的には、被せ物の中で虫歯が広がっていないか、根の先の炎症が起きていないかなどをチェックします。
また、レントゲン撮影については、最低でも1年に1度は歯科クリニックで受けるようにしましょう。
セラミックだけでなく、歯を全体的にチェックする際にも、レントゲン撮影は適しています。
マウスピースの使用
セラミック矯正後の歯の寿命を延ばす方法としては、マウスピースの使用も挙げられます。
セラミックの寿命を縮めてしまう行動の一つに、歯ぎしりや食いしばりがあります。
これらは寝ている間無意識に行っていることも多く、知らず知らずのうちにセラミックを傷付けています。
もし歯ぎしりや食いしばりが疑われるのであれば、歯科クリニックに相談し、マウスピースを作製してもらいましょう。
歯ぎしり・食いしばり用のマウスピースはナイトガードと呼ばれるもので、歯列に被せることで歯や顎への負担を軽減できます。
セラミックの素材選びも重要
前もってセラミックの寿命を延ばすためには、治療時の素材選びを慎重に行わなければいけません。
具体的には、ジルコニアなどを選択することにより、破損のリスクはかなり軽減されます。
ジルコニアは、その硬さから人工ダイヤモンドとも呼ばれていて、強い咬合力が求められる奥歯に使用されることが多いです。
逆にハイブリッドセラミックなどの素材は、どうしても破損のリスクが高くなります。
決して悪い素材ではありませんが、寿命を延ばすという意味では適していないと言えます。
ちなみに、メタルセラミックも金属部分は破損しにくいですが、セラミックの部分は破損のリスクがあります。
まとめ
セラミック矯正後は、適切なセルフケアやプロケア、歯ぎしりや食いしばり対策などを行うのが大切です。
これらのアフターケアにより、10年、15年とセラミックの寿命を延ばすことができます。
逆に十分なケアをしていないと、治療箇所だけでなく口内全体で問題が起きたり、交換の時期が早まったりしてしまいます。
特に、歯科クリニックでの定期検診はつい面倒になりがちなため、必ず継続しましょう。