ジルコニアは、正確には二酸化ジルコニウムと呼ばれるもので、セラミック素材の一つとして歯科クリニックで提供されています。
こちらは他のセラミック素材と同じくさまざまなメリットがありますが、大まかに言うと身体に優しい素材だと言えます。
今回は、ジルコニアが身体に優しい素材である理由を中心に解説します。
ジルコニアが身体に優しい素材である理由5選
以下の理由から、ジルコニアは患者さんの身体にとって非常に優しい素材だと言えます。
・硬度、強度がある
・生体親和性が高い
・金属アレルギーを発症しない
・メタルタトゥーを発症しない
・金属特有のニオイがない
各項目について詳しく説明します。
硬度、強度がある
ジルコニアにおける最大のメリットは、人工ダイヤモンドという別名の由来にもなっている硬度や強度です。
また、こちらは身体に優しい素材である理由でもあります。
なぜなら、破損や摩耗が起こりにくく、患者さんの噛み合わせにも影響が出にくいからです。
ジルコニアは突出した硬さを持っているため、噛み合わせによるダメージをほとんど受けません。
さらに、歯ぎしりや食いしばりといった習慣がある患者さんにも適しています。
その上劣化や変形も見られにくいため、噛み合わせが歪んだり、再び治療を受けたりしなければいけないリスクが軽減されます。
生体親和性が高い
ジルコニアはチタンなどと同じく、生体親和性が極めて高い素材であり、こちらも身体に優しいとされる理由です。
生体親和性は、素材が人体と馴染みやすいかどうかを表すものです。
ジルコニアは生体親和性に優れているため、口内に装着することで拒絶反応を起こしたり、炎症を起こしたりする心配がほとんどありません。
生体親和性が低い素材を使用すると、炎症だけでなく血栓ができたり、発ガンにつながったりすることも考えられるため、こちらは大きなメリットです。
金属アレルギーを発症しない
ジルコニアには金属が含まれていないため、金属アレルギーを発症することがありません。
金属アレルギーのリスクを避けられるということは、すなわち身体に優しいということになります。
金属が口内に入ると、金属アレルギーのリスクが高まります。
これまで一切アレルギーが出たことがない方でも、歯科治療時に金属が口内に触れたのをきっかけに発症することもあります。
また金属アレルギーは、口内炎や腫れ、舌の痛みや唇のただれ、味覚異常や口内乾燥を引き起こします。
さらに全身の皮膚に発疹が出たり、頭痛やめまいが生じたりすることもありますが、ジルコニアはこれらのトラブルとは無縁です。
メタルタトゥーを発症しない
メタルタトゥーを回避できる点も、ジルコニアが身体に優しい素材であることを表しています。
メタルタトゥーは、口内に入っている金属素材が溶け出し、歯茎が黒もしくは灰色に変色してしまう症状です。
まるでタトゥーのような色合いで、なおかつ簡単に消えないことからこの名前がつけられました。
またメタルタトゥーが生じると、口元の審美性が著しく低下します。
せっかく自由診療のセラミッククラウンなどを装着しても、歯茎の色が悪いと不潔もしくは不健康なイメージを与えてしまいます。
メタルタトゥーそのものに健康被害は認められませんが、可能な限りジルコニアなどの身体に優しい素材を選び、避けるのが無難です。
金属特有のニオイがない
金属が含まれていないジルコニアは、口内に入れたとき金属特有のニオイに悩まされる心配もありません。
金属特有のニオイは、金属が錆びたり、皮脂や汗と反応したりすることで発生します。
錆びた金属は空気中の酸素に反応して酸化するため、嫌なニオイが出やすくなります。
また金属の詰め物を手で触った場合、皮脂や汗と反応した嫌なニオイが手についてしまうこともあります。
このようなニオイを常に嗅いでいなければいけない場合、気分が悪くなるなどの健康被害も心配されますが、ジルコニアではそのようなことは起こり得ません。
ジルコニアの身体に優しくない特徴とは?
ジルコニアは患者さんの身体にとって優しい特徴を多く持っていますが、逆に優しくないと言える特徴もあります。
具体的には、歯を削る量が多いこと、調整が難しいことです。
ジルコニアの表面は、セラミックでカバーする二重構造になっています。
そのため、どうしても多めに歯を削らなければいけません。
またジルコニアは硬度や強度が極めて高いですが、その分加工するのが難しく、噛み合わせの調整には高度な技術が必要になります。
調整に失敗するとつくり直しが必要になるため、歯科技工士の力量に大きく左右されます。
まとめ
ジルコニアはその強度と生体親和性の高さを持つ上に、メタルフリーのセラミック素材です。
そのため、身体の負担やトラブルを危惧している方にとっても、安心して選択できる素材だと言えます。
自由診療であるため費用はある程度高額にはなりますが、保険診療の素材を使用してトラブルが多発するくらいなら、最初からジルコニアを選んでおいた方が良いです。