歯科クリニックは、通常のセラミッククラウンだけでなく、ジルコニアクラウンも取り扱っていることがあります。
これらは同じセラミック素材ではありますが、それぞれ異なるメリットがあり、適している方も変わってきます。
今回は、ジルコニアクラウンをおすすめする方の主な特徴について解説します。
ジルコニアクラウンの概要
ジルコニアクラウンは、セラミックの一種で人工ダイアモンドとも称されるジルコニア(酸化ジルコニウム)を使用したクラウンです。
ジルコニアはとても硬く、また生体親和性が高いため、歯科材料としてはとても理想的です。
セラミックでありながら、強度の耐久性においては他の素材を凌駕します。
また金属アレルギーの心配がないことから、金属を使用したクラウンの代替としても人気を博しています。
ジルコニアクラウンが向いている人の特徴5選
ジルコニアクラウンが向いている方の特徴としては、主に以下のことが挙げられます。
・歯ぎしりや食いしばりが強い
・噛み合わせが強い
・金属アレルギーがある
・変色した歯をキレイにしたい
・仮止めをしたい
各項目について詳しく説明します。
歯ぎしりや食いしばりが強い
歯ぎしりや食いしばりが強い方は、ジルコニアクラウンの適用が向いています。
なぜなら、ジルコニアはずば抜けて強度が高い素材だからです。
歯ぎしりや食いしばりが強い場合、歯や顎だけでなく、全身にもさまざまな症状が現れます。
具体的には歯の破損や歯周病、肩こりや頭痛といった症状です。
ジルコニアクラウンを装着すれば、歯ぎしりや食いしばりによって治療した歯が割れてしまうリスクを防げるだけでなく、上記のような弊害も予防できます。
噛み合わせが強い
噛み合わせが普段から強いという方も、ジルコニアクラウンを選ぶことをおすすめします。
ここでいう噛み合わせが強いとは、日頃上下の歯を合わせたときに噛む力が強いことを指しています。
単純な咬合力であるため、歯ぎしりや食いしばりのときの力は関係ありません。
また顔の輪郭が張っている方や、口内にできる骨の隆起が大きい方、歯が平らな方などは噛み合わせが強くなりがちです。
そのため、耐久性の高いジルコニアクラウンを選択し、少しでも破損のリスクを減らすことが大切です。
金属アレルギーがある
金属アレルギーを持っている方も、ジルコニアクラウンを選択することをおすすめします。
ジルコニアは金属を含まない素材であるため、金属アレルギーの方でも安心して使用できます。
金属アレルギーを発症すると、歯肉炎や口内炎、口唇炎など口周りの炎症が起こりやすくなります。
さらに歯茎の変色や口腔扁平苔癬、白板症やアレルギー皮膚炎などのリスクもあるため、金属アレルギーがある方はメタルフリーの素材を選ぶことが重要です。
変色した歯をキレイにしたい
変色した歯をキレイな状態にしたい方は、ジルコニアクラウンが適しています。
ジルコニアは自然な色合いと透明感があり、変色しにくいため長期間使用しても美しさをキープすることができます。
また前述の通り金属アレルギーが起こらないため、歯茎の変色を引き起こすことはありませんし、汚れが付着しにくい点もメリットです。
もちろんセラミック素材は全般的に審美性が高いですが、美しさと強さを兼ね備えたセラミッククラウンを装着したい方は、ぜひジルコニアクラウンを選んでください。
仮止めをしたい
ジルコニアクラウンには、仮止めができるというメリットがあります。
こちらは被せ物を設置して様子を見る処置であり、噛み合わせに問題がないかなどを確認するのに便利です。
そのため、本番の治療を行う前にクラウンの状態を確かめたいという方は、ジルコニアクラウンが向いていると言えます。
ジルコニアを含むセラミック素材のクラウンは、原則自由診療であり、治療費が高額になるケースも珍しくありません。
このことから、前もって状態を確かめつつ、慎重に治療を進めたいという方も多いでしょう。
このような方は、ジルコニアクラウンを選択肢に入れるべきです。
ジルコニアクラウンをおすすめできない人
ジルコニアクラウンは、歯を削りたくない方や、過去のデータの多い治療を受けたい方などにはおすすめできません。
ジルコニアクラウンだけに言えることではありませんが、セラミック治療ではある程度セラミックそのものの厚みを確保しなければいけません。
そのため、治療箇所の天然歯の部分について、ある程度削る必要があります。
またジルコニアクラウンは、2005年に薬事法の認可を受けた比較的新しい素材です。
そのため、治療予後に関するデータについては、決して豊富とは言えません。
まとめ
ジルコニアクラウンを選択したい方は、まず取り扱いのある歯科クリニックに相談するところから始めましょう。
また他にも多くセラミック素材を取り揃えている歯科クリニックの場合は、それらの素材とジルコニアを比較することも忘れてはいけません。
もちろん患者さん自身では、どの素材にするか決めかねることもあるかと思いますので、歯科医師のアドバイスはしっかり聞いておきましょう。