虫歯を治療する際などに用いられるセラミック治療では、さまざまな種類のセラミック素材が使用されます。
代表的なものとしては、ジルコニアセラミックやメタルセラミックなどがあり、これらはまったく異なる特徴を持っています。
今回はジルコニアセラミック、メタルセラミックの特徴を比較します。
ジルコニアセラミックとは?
ジルコニアセラミックは、人工ダイヤモンドとも呼ばれる強度の高いセラミック素材です。
前歯、奥歯のいずれにも使用されることがあり、神経を失ってしまった歯にも適用可能です。
またジルコニアセラミッククラウンを装着する際は、事前に歯を1.5mm程度削り、その上に補綴物を装着します。
メタルセラミックとは?
メタルセラミックは、金属のフレームにセラミックを焼き付けたものであり、メタルボンドとも呼ばれます。
見た目のキレイさや強度から、ブリッジなどの治療で使用されることも多いです。
作製時には、歯の土台に合わせて金属を鋳造し、外側の見える部分にセラミックを取り付けます。
歴史は非常に長く、実績のある治療法として有名です。
ジルコニアセラミックとメタルセラミックの違い5選
ジルコニアセラミックとメタルセラミックには、主に以下のような違いがあります。
・審美性
・費用
・金属アレルギーのリスク
・変色や劣化
・症例数
各項目について詳しく説明します。
審美性
ジルコニアセラミックとメタルセラミックとでは、まず審美性が異なります。
ジルコニアセラミックは、土台となるジルコニア部分も白いため、透明感のある仕上がりを実現できます。
光は通しながらも色の遮蔽効果は高く、被せる歯が虫歯などで変色している場合も、美しく見せられます。
一方、メタルセラミックもセラミック素材の一つではありますが、ジルコニアセラミックほど審美性は高くありません。
また金属のフレームを使用していることから、口を開けたときなどに外から金属部分が見えてしまうことがあります。
費用
ジルコニアセラミックとメタルセラミックは、費用にも違いがあります。
セラミック治療は自由診療であるため、使用する素材がセラミックの時点で保険は適用されません。
そのため、ある程度費用は高額になります。
ただし、ジルコニアセラミックとメタルセラミックとでは、メタルセラミックの方が安くなるケースが多いです。
具体的にはメタルセラミックの費用相場が8～15万円なのに対し、ジルコニアセラミックは12～18万円ほどかかります。
金属アレルギーのリスク
ジルコニアセラミックとメタルセラミックには、金属アレルギーのリスクがあるかないかという違いもあります。
ジルコニアセラミックは金属を一切使用していないため、金属アレルギーのリスクはありません。
また金属が溶け出し、境界に黒ずみができるなどのトラブルも避けられます。
一方、メタルセラミックは内側に金属を使用しているため、金属アレルギーを引き起こすリスクがあります。
さらに経年劣化により、金属が歯茎に溶け出す可能性もゼロではありません。
ちなみに金属アレルギーを発症すると、湿疹や頭痛、めまいや肩こりなどの全身症状につながる可能性があります。
変色や劣化
ジルコニアセラミックは、メタルセラミックに比べて経年による変色や劣化がほとんど見られません。
そのため、審美性の高さをキープしやすいです。
これに対しメタルセラミックは、素材そのものが劣化するわけではないものの、経年によって徐々に中の金属が露出することがあります。
もちろん金属の露出部分が多くなれば、審美性は徐々に失われます。
症例数
メタルセラミックは、ジルコニアセラミックに比べて症例数で上回っています。
メタルセラミックは、金属を使用したセラミック素材という特殊な位置づけではありますが、日本国内では数十年以上の歴史があり、実績のある治療法として確立されています。
近年はジルコニアセラミックやオールセラミックなどが使用されることが多く、メタルセラミックの存在感は薄れている傾向にあります。
しかし、メタルセラミックは他のどのセラミック素材よりも信頼されているため、万が一のトラブルやアフターケアにも対応してもらいやすいです。
ジルコニアセラミックとメタルセラミック、どっちがおすすめ?
ジルコニアセラミックとメタルセラミック、どちらがおすすめかは患者さんの要望によって変わってきます。
強度の高さに加え、少しでも審美性の高さを求めるのであればジルコニアセラミック、費用の安さを重視するのであればメタルセラミックがおすすめです。
つまり強度以外に何を求めるかによって、おすすめのセラミック素材は決定するということです。
まとめ
ジルコニアセラミックは、メタルセラミックと比べて審美性が高く、劣化や金属アレルギーの心配もありません。
一方、メタルセラミックはリーズナブルなセラミック素材であり、症例数の多さはセラミック素材の中でも随一です。
ちなみに、セラミック治療で用いられる素材は他にも数多くあるため、治療を受ける方はすべての特徴を知る必要があります。
